「郷土芸能が1位とは。「東日本大震災 芸術・ 文化による復興支援ファンド」の助成内容は意外だった。昨年の89件中31件で、2位の美術(16件)、3位の音楽(12件)を引き離した。被災地支援が狙いとはいえ、ハイアート向けが主流の芸術文化助成で、こんな結果は聞いたことはない。」と始まる記事。これまでの申請内容の分析と、郷土芸能が多数助成されていることについての考察、「アートによるまちおこし」との比較などにも言及されています。
最後は、「これまでの寄付総額は6千万円、助成は1件50万円まで。こんなささやかなファンドが「志縁」の在り方を問うている」との結び。
取材にいらしてくださった際、赤十字や募金会などのメジャーな義援基金とは2ケタも3ケタも違うことや、文化でも1件当たりが多額の助成もあることなどの、悩みというか実情をお伝えしたところ、「金額の多寡ではないですよ」ときっぱり言ってくださった星野さん。「志縁」という言葉に励まされます。
GBFundはこれからも、趣旨に賛同してくださった多くの心ある寄付者の皆さまとともに、「志縁」を続けて行きたいと思います。
2012年3月13日
※WEB版に掲載されたので下記に転記します。
〈甲乙閑話〉被災地支援 郷土芸能の底力 郷土芸能が1位とは。「東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド」の助成内容は意外だった。昨年の89件中31件で、2位の美術(16件)、3位の音楽(12件)を引き離した。被災地支援が狙いとはいえ、ハイアート向けが主流の芸術文化助成で、こんな結果はほかに聞いたことがない。ファンドは昨年3月の震災直後に企業メセナ協議会が作った。企業や個人の寄付を原資に、申請のあった活動から緊急性や継続性を基準に選考する。興味深いのは申請内容だ。506件中、音楽160件、美術125件、演劇59件と従来型の内容が上位を占める。43件で4位の郷土芸能が、メジャーなジャンルより支援に値すると判断されたことになる。震災後、多くのアーティストが被災地を慰問したが、「ありがたいけれど、一度きりだとかえって悲壮感が残る」とこぼす被災者もいる。復興にはコミュニティー再生が欠かせない。「文化の炊き出し」のような一過性のイベントではない、「みんなでつくる」祭りや獅子舞の役割が、はからずも浮かび上がった。もちろん、アートも同じ役割を担える。ただ、今回の結果は、アートによるまちおこしが帯びる、どこか教化的な雰囲気へのアンチテーゼに感じられてならない。これまでの寄付総額6千万円、助成は1件50万円まで。こんなささやかなファンドが「志縁」の在り方を問うている。(星野学)
(朝日新聞webより 2012年3月15日10時39分)