第5回採択活動の一つ、「ドキュメンタリー映画「なみのこえ」製作」。その前作にあたる「なみのおと」の上映会(@宮城県三陸町のホテル)について、1/16付読売新聞に掲載されました。下記に転記します。
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ドキュメンタリー映画上映…南三陸
津波被害に遭った11人の証言を収めたドキュメンタリー映画「なみのおと」の上映会が15日、宮城県南三陸町のホテルで行われた。
同町の被災者たちでつくる「南三陸町 復興みなさん会」の主催。被災地での上映は初めて。被災者たちは「同じ苦しみがよく伝わってきた」と映画を評価した。
監督は、いずれも東京芸大大学院映像研究科出身の浜口竜介さん(33)と酒井耕さん(32)。2人は7月中旬から被災者約20人を取材して10月に作品を完成。山形国際ドキュメンタリー映画祭などで上映してきた。
映画は被災者同士の対談が中心。それぞれが、あの日何があり、それまでどんな暮らしをして今を生きているのかを話している。酒井監督は「近しい相手だからこそ話せることがあり、丁寧に言葉を拾い上げたかった」と説明する。
「事務所の床ごと流され、『神様お願いします』と祈るしかなかった」。宮城県東松島市で被災し、7キロ離れた同県大崎市まで流された40歳代の女性はそう話す。
福島県新地町で自宅が流失した30歳前後の姉妹。妹は「もっと地元の声を聞いて」と訴え、姉は「10年後、20年後には海に入れるようになってほしい」と願う。
会場では約60人の被災者らがスクリーンを見つめた。南三陸町の自宅が流失し、現在宮城県登米市迫町佐沼で暮らす会社員鈴木登さん(64)は「町から逃げた後ろめたさを抱えていたが、ほかの人も同じような葛藤があることが分かり、共感した」と感想を語った。
監督2人は今も仙台市を拠点に続編の取材を進めている。浜口監督は「震災の記録がいつまでも残るよう多くの人に見てもらいたい」と話しており、今後、全国各地で上映したい考えだ。
(2012年1月16日 読売新聞)
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【GBFund解説】
★映画「なみのこえ」製作
映画「なみのこえ」製作委員会(宮城県)
2011年11月~2012年9月
せんだいメディアテーク(宮城県仙台市)、東北地方沿岸部
震災後いち早く現地入りし、津波被災者を丹念に取材し記録した前作「なみのおと」は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011で上映されるなどして注目を集め、高い評価を受けた。今作「なみのこえ」では“体験と伝承”をテーマとし、岩手から福島までの東北地方東沿岸部をまわって被災者の体験をインタビューする他、「みやぎ民話の会」による採話活動の様子を記録する。